先日2件のニュースを聞いて浮かんできた歌。
子供らを被害者に 加害者にもせずに
この街で暮らすためまず何をすべきだろう?
でももしも被害者に 加害者になったとき
かろうじて出来ることは 相変わらず
性懲りもなく 愛すこと以外にない
Mr.Childrenの「タガタメ」の一節です。
こちらの「シフクノオト」というアルバムに収録されている曲です。
なぜこの歌が思い浮かんだのか。それは立て続けに自転車にまつわるこんな辛い記事があったからです。
12月15日千葉県柏市で、自転車に乗っていた10歳の女の子が軽自動車にはねられて死亡した。
警察は、軽自動車を運転していた自称・アルバイトの女性(51)を過失運転致傷の疑いで逮捕した。容疑者の車は自転車に衝突した後、女の子を巻き込んだまま別の乗用車にも衝突した。
12月7日に、スマートフォンを見ながら電動自転車を運転して、女性に衝突して死亡させたとして、神奈川県川崎市の女子大生(20)が重過失致死容疑で年内にも書類送検される。
この女子大生は事故当時、左手にスマホ、右手に飲みものを持って、左耳にはイヤホンをしていた。
子供たちを被害者にも加害者にもしたくないのは言うまでもありませんが、仮に加害者になってしまった時に備えて何が必要かということを考えてみました。
自転車と子供に関する親心の変遷
第一段階 早く乗れるようになってほしい親心
子供が3歳頃になると、早く自転車に乗れるようにと親も一生懸命に特訓しました。この記事にあるようにストライダーを買ってみたり。(結局うちの子にはまったく合わなかったんですけどね。)
第二段階 自転車に乗って車に轢かれたらと心配する親心
今の我が家はこちらの段階です。
幼稚園の頃はお友達も各所に散らばっていたので、自転車で遊びに行ったりということはなかったんですが、今や小2の息子は放課後になるとお友達と遊ぶために颯爽と自転車に乗って出かけていきます。
我が家の目の前は幹線道路でトラックが行き交っているので、最初の頃は帰宅するまで、車に轢かれないかとずっと心配していたものでした。
最近もお友達のマンションの敷地内で転んで顎を怪我して、血だらけで帰ってきて結局4針縫うことになったりと心配は尽きません。(これは完全な自己責任ですが)
被害者にならないようにするためには、信号が青だからといってもちゃんと周りを見回して、本当に安全か確認するようにと、口を酸っぱくして言い聞かせたり、ヘルメットを着用させるくらいですが、最近は高齢者の運転する車など不安要素も多く、祈るよりないのが正直なところです。
第三段階 自転車で人をケガさせたらと不安な親心
一方、加害者になることは防げるはずです。
先述の女子大生は、視覚も聴覚も、触覚(両手)すらもなしで電動自転車を運転していて、これは暴挙としか言いようがありません。
実際に女子大生は「ぶつかるまで気付かなかった」と話しているそうです。
「自分がどれだけ危険なことをしているのかという自覚がない」か、「自分は周囲がちゃんと見えていると過信している」のでしょう。
今後子供が高学年になりスマホを持つようになれば、そうした危険性をしっかり伝え、絶対に自転車運転中に他に気を散らさないように気をつけさせなくてはと思います。
その点、大人も「歩きスマホ」などはしないように気をつけなくてはいけないですが。
子供が加害者になった時
それでももし、子供が自転車を運転していて、誰かを怪我させてしまったり、場合によっては死なせてしまった場合には刑事上の責任、民事上の責任、道義上の責任が発生します。
どの責任も重いのですが、ここでは経済的に一番重くのしかかってくる民事上の責任について考えてみたいと思います。
損害賠償の額は?
先ほどの女子大生の件で、テレビでは、亡くなった方の逸失利益は1,000万円くらいと言っていました。人を死なせておいてその位の額なの?とちょっと唖然とはしてしまいますが。
ちなみに静岡県警さんのHPにいくつか自転車事故の判例が掲載されています。
①神戸地裁:平成25年7月4日判決
小学生が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、前方を歩行中の女性と衝突。女性は頭を強打し、意識不明の重体となった。
賠償額9,521万円
②東京地裁:平成20年6月5日判決
高校生が昼間、歩道から車道を斜め横断し、対向車線を自転車で進行してきた男性と衝突。男性は重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。
賠償額9,266万円
③東京地裁:平成15年9月30日判決
男性が夕方、片手運転で下り坂をスピードを落とさず交差点に進入し、横断歩道を横断中の女性と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。
賠償額6,779万円
これだけの金額を支払うことは、お金持ちではない普通の世帯にとってはなかなか厳しいのではないでしょうか?
こういう突発的に発生し、負担する費用が大きい時こそ保険が必要になります。(逆にある程度の確率で発生して、費用もそこまで大きくない医療保険などは、貯蓄や高額療養などである程度賄えるので、実は保険はあまり必要ではありません。)
そこで自転車に関する賠償責任保険について調べてみたので、ご紹介したいと思います。
自転車に関する賠償責任保険
①TSマーク付帯保険
TSマークとは自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険、被害者見舞金が付帯します。
TSとは、TRAFFIC SAFETY(交通安全)の頭文字をとったものです。
点検年月日と自転車安全整備士番号が記載された保険有効期間中(1年間)のTSマーク貼付自転車に搭乗中の人が、 第三者に死亡又は重度後遺障害を負わせたことにより、法律上の損害賠償責任を負った場合に適用されます。
TSマークには、青色マーク(第一種)と赤色マーク(第二種)があり、賠償責任保険の内容が異なります。
第一種(青色)の場合は賠償責任額は1,000万円が限度額で、被害者見舞金は付きません。
第二種(赤色)の場合は賠償責任額は1億円が限度額です。
※平成29年9月30日までに貼付した赤色TSマークは、5,000万円です。
被害者見舞金は傷害(入院加療15日以上)を負わせ、法律上の損害賠償責任を負担した場合に、一律10万円が支払われます。
TSマークは自転車安全整備店で取り扱っています。
自転車の点検整備(有料)を受けて、TSマークを貼付して貰うことで、サービスで保険がつきます。
その際に、自転車安全整備店から「TSマーク付帯保険加入書」が渡されるので、1年間保管します。
TSマークの有効期間は、点検整備の日から1年間ですので、年1回は点検整備を受けてマークを更新する必要があります。
ただ、このTSマーク付帯保険ですが、これだけではちょっと心許ない気もします。
というのも、赤色と青色のマークは整備店により異なるようで、負担額によって決まっているわけではないらしいこと。
それから第三者が死亡または重度後遺障害になったときしか賠償責任保険が下りず、見舞金も赤色で入院加療が15日以上でないと支払われないことなど、相手が骨折程度の時にはほとんど保障されない気がします。
あくまで点検のついでのサービスということで、これがあるから安心だと思わないことが大切そうです。
②自転車保険
自転車に特化した保険だとau損保の「Bycle」などもあります。
本人だけだと月360円から。家族だと740円から加入できます。
他に、Amazonでも自転車保険を扱っています。
こちらは家族で7,000円。限度額は1億円となっています。
③自動車保険や火災保険の付帯
個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として付帯されている場合があります。一度ご自身の保険内容を確認してみましょう。
④クレジットカード付帯
JCBカードなどに付けることもできます。
まとめ
大人も子供も自転車事故に巻き込まれないことに越したことはありませんが、いざ何かあった時に保険があるとないとは大違いです。
特にこうした自転車事故のように確率が低く、発生する損害額が大きいケースこそ保険の活用が重要です。
お子様が自転車に乗るようになったら、月数百円程度ですので、ぜひ自転車保険の加入を検討されてはいかがでしょうか?