来るべき「給料2割減時代」を見据えた「支出削減」のうち、今回は「電気料金の見直し」についてお伝えします。
電気の使用量削減は難しい
正直なところ、電気の使用量を抑えるというのはなかなか難しいです。
冷蔵庫の中にある食材を書いて扉に貼っておき、ドアを開ける回数を減らすとか、冷気が外に出ないように庫内にシートを付けるとか、家電のコンセントは都度抜き差しするとか、色々と手段はありますが、劇的に節約になるかというとそうでもなく、結構ストレスが溜まったりします。
それに家事を効率的にしてくれる家電は、多少の電力がかかっても利用した方が結果としてお得ということも多くあります。
我が家だと、衣類乾燥機がまさにそれです。使用電力量は多めですが、洗濯物を干す手間や、室内干しのイライラを考えると、我が家になくてはならないものです。
テレワークで家にいる機会が増えると、どうしても電気を使っちゃうしね。
そうすると考えるべきことは「単価の安い電気」を選ぶことです。
電力の小売全面自由化
さて、皆様は電気料金の自由化をご存知でしょうか?
以前は、家庭向けの電気は、各地域の電力会社(東京電力、関西電力等)だけが販売していて、電気をどの会社から買うか選ぶことはできませんでした。
それが、2016年(平成28年)4月1日から、電気の小売業への参入が全面自由化されて、家庭を含む全ての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。
電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化して、様々な料金メニュー・サービスが登場しています。
例えば、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引や、ポイントサービス、家庭の省エネ診断サービスなどが登場しています。
電力の小売全面自由化って何?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁
最新の資料が見つかりませんでしたが、自由化から約2年半後の2018年(平成30年)9月時点で、低圧(家庭向け)電力の会社を変更した割合(スイッチング率)は20%に達しています。
乗り換えでどのくらい安くなるの?
例えば我が家は40Aの契約ですが、東京電力とその他の電力会社ではどのくらい金額が違うのか我が家の2020年4月のデータを基に見ていきましょう。
夫の在宅勤務と子供たちの自宅待機の影響で、電気使用量は560kWhとなっています。
エアコンを使用する平年の夏場と同程度です。
今後テレワークが普及すると光熱水費が伸びそうですね。
①東京電力の料金
一般家庭向けの24時間同一料金のプランは「従量電灯B」で、こちらが、2020年6月1日現在の東京電力の料金(税込)です。
契約種別 | 単位 | 料金(税込) | ||
基本料金 | 10A | 1契約 | 286円00銭 | |
15A | 〃 | 429円00銭 | ||
20A | 〃 | 572円00銭 | ||
30A | 〃 | 858円00銭 | ||
40A | 〃 | 1,144円00銭 | ||
50A | 〃 | 1,430円00銭 | ||
60A | 〃 | 1,716円00銭 | ||
電力量料金 | 第1段階料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 19円88銭 |
第2段階料金 | 120kWhをこえ300kWhまで | 〃 | 26円48銭 | |
第3段階料金 | 上記超過 | 〃 | 30円57銭 | |
最低月額料金 | 1契約 | 235円84銭 |
各契約種別ごとに基本料金が設定されていて、そこに使用量に応じた料金が加算される方式です。
40Aの基本料金 1,144.0円
120kWhまで 120kWh×19.88円=2,385.6円
120kWh~300kWh 180kWh×26.48円=4,766.4円
300kWh以上 260kWh×30.57円=7,948.2円
合計 16,244円(560kWh利用時)
料金単価表‐電灯(従来からの料金プラン)|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
②Looopでんきの料金
我が家が4月まで使用していたのがLooopでんきです。
こちらは基本料金は0円で、東京電力管内だと、従量料金が一律で1kWhあたり26.4円となっています。
したがって 560kWh×26.4=14,784円(560kWh利用時)となります。
なお、実際は東京電力やその他の会社とも、同額の燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算減算されますので、最終的な支払い額は異なりますが、東京電力との差額は月額1,460円(16,244円-14,784円)にもなります。
今回は使用量が多かったので、差額が多くなりましたが、通常の場合でも、年額にして15,000円程度はお得になる計算です。
ちなみに使用量が120kWhまでの場合、東京電力の方が従量料金は安いですが、最も差が狭まる120kWh使用した場合でも、東京電力が 3,530円、Looopでんきが3,168円となるため、どの料金帯でもLooop電気の方が有利です。
※ただし東京電力でオール電化割等の割引を利用されている場合は、東京電力の方が有利になるかもしれませんのでご注意ください。
③九電みらいエナジーの料金
そして我が家が2020年5月から乗り換えたのが九電みらいエナジーです。
我が家はJALマイルMプランを利用しています。
40Aの基本料金 0A×4×246.84円= 987.36円
300kWhまで 300kWh×24.19円=7,257.00円
300kWh以上 260kWh×26.99円=7,017.40円
合計 15,261円(560kWh利用時)
実は乗換え前のLooopでんきより500円弱高くなっていて、何で乗り換えたのと思われるかもしれませんが、これには2つの理由があります。
一つ目は、このプランはその名のとおり、毎月の電気料金(再エネ賦課金、郵送サービス料、延滞利息、消費税等相当額を除いた金額)100円につき1マイルが貰えるためです。
このケースだと、燃料費調整額が1,170円程マイナスになるので、140マイル程度が貰えます。
「140マイルに500円の価値があるの?」と言われると微妙ですが、実は大きかったのはもう一つの理由です。
それは、我が家で利用しているポイントサイト「モッピー」で大量のポイントを獲得できる広告が掲載されていたことです。
今は掲載が終了してしまっていますが、電力会社を乗り換えるだけで13,000ポイント(13,000円相当)も貰えるという破格の好条件でした。
電気料金がちょっと高くなっても、十分お釣りが来ると思って、乗り換えをしたわけです。
④他の電力会社の特色
④-1 楽天でんき
こちらはLooopでんきと同様に、基本料金は0円で、東京電力管内だと、従量料金が一律で1kWhあたり27.5円となっています。
したがって 560kWh×27.5=15,400円(560kWh利用時)となります。
Looopでんきよりも少し高いですが、楽天でんきを利用していると、楽天市場での買い物時に+0.5倍のポイントが付与されます。ですから楽天市場をたくさん使っている方は申し込み時に貰える2,000ポイントと合わせて検討するとよいかもしれません。
④-2 東京ガス
こちらは深田恭子さんのラムちゃんのCMがご記憶に残っている方も多いのでは。
実は「新電力販売量第1位」(2019年4月時点)の東京ガスを利用するのも一つの方法です。支払いで貯まるパッチョポイントは交換先数もNo.1ということです。
40Aで560kWh使用した場合は15,018円となり、東京電力や九電みらいエナジー、楽天でんきよりも安くなります。
また、東京電力・東京ガスとも「電気・ガスセット割」があって、適用すれば、更にお得になります。
※電気ほど盛り上がってはいませんが、実はガスも自由化しているんです。
東京ガス : 電気代切り替えまだの人、東京ガスにしないと損だっちゃ。
乗り換えは面倒?
実は電力の乗り換えは全然面倒ではありません。ワンストップで終わる点では、スマホの乗り換えよりも簡単です。
①切り替え先の電力会社への申し込み
切り替えたい会社のサービス窓口、電話、ホームページ等から申し込みを行います。
現在契約している電力会社への解約手続きは、切り替え先の電力会社が手続きを行ってくれるので、解約の連絡をする必要はありません。
手続きには「お客様番号」と「メーター個別の番号(供給地点特定番号)」が必要になりますので、「使用電力量のお知らせ」票等を用意しておきましょう。
②スマートメーターへの交換(スマートメーター未設置の方のみ)
スマートメーターが設置されていないご家庭の場合は、スマートメーターへの交換が必要になります。
切り替え先の電力会社への申し込み後、交換作業の工事予定日の連絡が入り、工事が行われます。
※スマートメーター:通信機能を持ち、電気の使用量を遠隔で検針したり、30分ごとの使用量を計測したりできる新しい電気メーター
※スマートメーターへの交換には、原則費用はかかりません。
③切り替え先の電力会社との契約開始
切り替え前の電力会社の検針日が過ぎたら、切り替え先の電力会社との契約が開始となります。
まとめ
電気の切り替えを行っても、電気の供給が不安定になるといったことはありません。
仮に供給元の業者が倒産しても、基本的にはその旨通知が来るので、2か月程度の間に別の業者にスイッチすれば問題ありません。(切り替えを忘れると突然供給が止まるおそれはあります。)
※2020年3月にはあくびコミュニケーションズという会社が倒産して、経産省からお知らせが出ています。
小売電気事業者(低圧)の契約切替え手続をお知らせします (METI/経済産業省)
基本的にはデメリットはないと思いますので、家計の収支改善にあたって、ぜひとも電力の乗り換えを検討されてみてはいかがでしょうか?